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報告書 つくば市 | つくば市放射線対策実施報告書

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(1)

章末注釈

*

1 航空機モニタリング

文部科学省が,広域の放射性物質による影響の把握及び線量評価や放射性物質の沈着状況の評 価のため,平成 23 年 7 月 26 日から 8 月 2 日にかけて茨城県内の航空機によるモニタリングを実 施した。航空機モニタリングは,地表面の放射性物質の沈着状況を確認するため,航空機に高感 度で大型の放射線検出器を搭載し,地上に沈着した放射性物質からのガンマ線を広範囲に測定す る手法である。現在は原子力規制委員会が実施している。

*

2 空間放射線量率

空間放射線量率とは,対象とする空間における単位時間当たりの放射線量のことで,単位は一

般的に,毎時○マイクロシーベルトや,○マイクロシーベルト/時,○μSv/h で表される。(本

書では毎時○マイクロシーベルト)空間放射線量率は,外部被ばくの程度を示す指標となること から,測定により空間放射線量率を把握することが重要である。

*

3 追加被ばく線量年間 1 ミリシーベルト

専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う国際組織であるICRP(国際放射線防護委 員会)が出した勧告(ICRP Publication 103)の中で,平常時の追加被ばく限度を年間1から5 ミリシーベルトとしていることから,国は,一番低い年間 1 ミリシーベルト以下にすることを長 期的な目標として,特措法の基本方針にも掲げている。

この数値は『社会的,経済的要因を考慮に入れながら,合理的に達成可能な限り,低く抑える べき』とした放射線防護上での値であり,安全と危険の境界を意味するものではない。なお,追 加被ばく線量は,自然界にある放射線による被ばくや医療被ばくを除く。

*

4 毎時 0.23 マイクロシーベルト(0.23μSv/h)

年間追加被ばく線量 1 ミリシーベルとなるための指標となる空間放射線量率。日本の平均的な 自然界からの空間放射線量率(毎時 0.04 マイクロシーベルト)を含む毎時 0.23 マイクロシーベ ルトと定めた。これは,1 日のうち屋外に 8 時間,屋内に 16 時間いることを前提として計算され ている。

屋外に 8 時間 屋内に 16 時間。屋内は遮蔽効果により 0.4 倍

※(0.19 μSv/h×8 時間)+(0.19 μSv/h×0.4×16 時間)× 365 日≒ 0.999 μSv/h 0.19 μSv/h(追加被ばく分)+ 0.04(自然放射線分)=0.23 μSv/h

*

5 汚染状況重点調査地域

平均的な空間放射線量率が毎時 0.23 マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村を,事故由

来放射性物質による汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な地域として環境 大臣が市町村単位で指定する。指定を受けた市町村は,調査測定の結果に基づき,具体的に市町

村内で除染実施計画を定める区域(毎時 0.23 マイクロシーベルト以上の区域)を判断し,除染

(2)
(3)

(1)内部被ばく対策

内部被ばくとは,放射性物質を含む空気や水,食物などを体内に取り込み,体内の放射線源か ら発せられる放射線により被ばくすることをいう。内部被ばくは,事故由来の放射性物質のほか に,空気中に含まれるラドン 222 や,ほとんどの食物に含まれる人間の必須栄養素でもあるカリ ウムに微量に含まれるカリウム 40 などから日常的に引き起こされている。

今回の事故の影響で現在まで主に残るセシウム 134 とセシウム 137 は,地表に沈着して残って いることから,それを取り込んだ農水産物などの摂取による内部被ばくが懸念される。

市では,学校給食などによる内部被ばくの対策として,平成 23 年 10 月から給食食材の検査や, 家庭菜園を含む農作物生産者のために持ち込みによる放射能検査を実施し,安全・安心の確保に 努めている。

○食品中の放射性物質の基準値(平成 24 年 4 月 1 日以降)

平成 24 年 3 月以前,国は,事故後の緊急的な対策として, 飲料水や乳製品が 1 キログラムあたり 200 ベクレル,その 他の食品が 1 キログラムあたり 500 ベクレルを暫定規制値 としてきたが,平成 24 年 4 月以降,内部被ばく線量を 1 ミリシーベルト以下にするため左表の基準を決定した。

国によって決められた食品中の基準値では,「一般食品」のほか,摂取量が多い「飲料水」 や,乳児だけが食べる「乳児用食品」,子どもの摂取量が特に多い「牛乳」など特に配慮が 必要と考えられる食品について区分を設けられている。

なお,つくば市では,食品基準値が適用される平成24年4月1日より2か月早い平成24 年 2 月から,新基準値にて給食食材の検査を実施している。

(2)給食食材の検査

平成23 年10 月 27日から,市立小・中学校,幼稚園及び市立保育所で使用する給食食材の放 射能検査を実施し,ホームページにて検査結果を公開している。

ア 検査内容

○食材前日検査

給食で使用する食材のうち,前日に納品される食材のスク リーニング検査を実施し,ホームページで公開する。このこ とにより,給食に使用される食材の放射能検査結果を前日ま でに知ることができる体制となっている。

検査は,一日に3箇所の給食センターでそれぞれ 2品目 ずつ(計 6 品目),2 箇所の保育所でそれぞれ 3 品目ずつ(計

食品群 基準値

飲料水 10 ベクレル/kg

牛乳 50 ベクレル/kg

乳幼児食品 50 ベクレル/kg

一般食品 100 ベクレル/kg

食品放射能測定システム

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6 品目)の合計 12 品目について実施している。 ○給食丸ごと検査

各給食センターおよび各保育所で,実際に食したメニュー と同じもの 1 週間分を保管し,ゲルマニウム半導体検出器で 検査を実施している。

検査開始当初,食品放射能測定システム(NaI シンチレー ション検出器)による検査をしていたが,より精度の高い 測定を望む市民の声に答え,平成 25 年 4 月からゲルマニウ ム半導体検出器による検査に移行した。

イ 給食食材の検査実績

年度

給食センター 保育所

食材検査 丸ごと検査 食材検査 丸ごと検査

平成 23 年度 436 129 383 62

平成 24 年度 1,214 492 1,373 476

平成 25 年度 892 173 1,089 199

計 2,542 794 2,845 737

※数値は件数。平成 25 年年度は 12 月末日時点までのデータ

ウ 検査結果

食品放射能検査システム(NaI シンチレーション検出器)によって検査された給食食材では, 検査が始まって以降,平成 25 年 12 月末まで,同機器の検出限界値である 1 キログラムあたり 約 25 ベクレル(セシウム 134 とセシウム 137 の合計)を超えたものはなかった。

平成 25 年 4 月から実施しているゲルマニウム半導体検出器による給食丸ごと検査により,1 キログラムあたり 0.6 から 0.8 ベクレルのセシウム 137 が,これまでに 3 回検出されているが, それ以外は全て検出限界値以下となっている。

学校給食について,実際に児童・生徒が摂取している食品から,食品にかかる基準値や,年 間 1 ミリシーベルトには遥かに及ばないことが確認されているが,市では,安心・安全な給食 を提供し,給食への不安解消のため,平成 26 年度も引き続き給食食材の検査を実施する。

ゲルマニウム半導体検出器

キャンベラ社製 GC2520-7500SL-2002CSL

※ 1 キログラムあたり 0.8 ベクレルの給食を 1 週間食べた際の内部被ばく線量(預託実効線量)

・保育所での一日の食事量を 400g と仮定

・1 キログラムあたり 0.8 ベクレル含む食品を 5 日間経口摂取したとする。 1 日の給食量 日数 検査結果 ICRP による預託実効線量係数[2-7 歳] 0.4 kg/日 × 5 日 × 0.8 Bq/kg × 9.6×10

-3

μSv/Bq ≒ 0.015 μSv

(5)

(3)農産物の検査

平成23年 10月27 日から,生産者の持ち込みによる農作物等の放射能検査を,食品放射能測 定システム(NaI シンチレーション検出器)で実施している。

○つくば市での検査

販売用から家庭菜園まで,市民が作った農作物などを対象に,検査を無料で実施している。 検査は予約制で,検体である農作物などを農業課に持ち込んでもらい,即日,検査結果票を 渡している。なお,平成25 年 4 月からゲルマニウム半導体検出器を導入したことから,希 望者には同機器での検査も実施している。

検査機器 測定時間 検出限界値 検査対象 検体量

食品放射能測定システム機器 日立アロカメディカル社製 CAN-OSP-NAI

20 分 (1,200 秒)

約 25 Bq/kg

農産物 土壌など

約 1 リットル

ゲルマニウム半導体検出器

キャンベラ社製GC2520-7500SL-2002CSL

30 分 (1,800 秒)

約 1 Bq/kg

農産物 地下水

約 2 リットル ※検出限界値は検査対象毎に変わるため,おおむねの数値としている。

※表記の検出限界値は,セシウム 134 とセシウム 137 の合算した数値。

検査を実施したもののうち,市販される農作物については,地元農作物を利用する方への 目安になるよう,検査結果を市のホームページに公開している。

なお,市内JA(JAつくば市・JAつくば市谷田部)においても,市の食品放射能測定 システムと同機種を用いて,生産者の持ち込みによる放射能検査を無料で実施している。

○国・県による検査

県内全域の農林水産物について定期的に検査を実施 し,その結果をホームページに公開している。検査は, 平成 23 年 3 月から行われてから,延べ 40,000 件以上の データが蓄積されている。

ここでは,産地や品目ごとに放射能検査をした結果が 検索できるため,日頃から放射能汚染が気になるような農 作物等について調べることができる。

また, 厚生労働省が公表しているホームページでは,国内全県の農林水産物の放射能検査 結果が閲覧することができる。

『食品中の放射性物質検査データ(http://www.radioactivity-db.info/)』

※基準値を超える放射性物質が検出された食品について,生産地域の広がりがあると認められ る場合には,出荷制限や販売自粛などの措置がとられるが,平成 25 年 12 月末日現在,つくば 市産の農産物などに出荷制限や販売自粛の措置が取られているものはない。

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(4)その他の放射性物質測定

ア 水道水の放射性物質検査

○事故発生直後の水道水検査

※中央配水場での採水分は

茨城県で実施。

市役所庁舎での採水分は 市が実施した。

○茨城県による水源を考慮した定点モニタリング(土浦市内で採水)

○茨城県企業局による上水道の放射能測定

つくば市の上水道は,約 98%が霞ヶ浦の浄水を使用しており,浄水場を管理する茨城県企 業局において原水(浄水場で処理する前の水)と上水(浄水場で処理し水道水として配水さ れる水)の検査をそれぞれ実施し,結果をホーム

ページに公開している。

茨 城 県 企 業 局 が 浄 水 場 で 測 定 を 開 始 し た 平 成 23 年 10 月以降,放射性物質は全て不検出(1 キロ グラム当たりセシウム 134 及びセシウム 137 とも に 1 ベクレル以下)となっている。

○つくば市上水道に供する地下水(原水)の放射能検査

市の一部地域(桜,筑波地区の一部)の上水道は,霞ヶ浦浄水場の水に浄水処理した地下 水を混ぜて配水している。この浄水場の地下水(原水)について,放射性物質の検査を実施 している。なお,これまでに実施した放射性物質の検査において,放射性物質は全て不検出 (1 キログラム当たり,セシウム 134 及びセシウム 137 ともに 1 ベクレル以下)となっている。

測定日 採水場所 ヨウ素 131 セシウム 134・137 合計

平成 23 年 3 月 20 日 中央配水場 4.9 Bq/kg 1.88 Bq/kg 平成 23 年 3 月 24 日 市役所庁舎 8.3 Bq/kg 不検出 平成 23 年 3 月 28 日 市役所庁舎 8.2 Bq/kg 不検出

測定月

検査 回数

ヨウ素 131 セシウム 134・137 合計

不検出 0.5 Bq/kg~ 10 Bq/kg~ 20Bq/kg~ 不検出 0.5 Bq/kg ~ 1 Bq/kg~ 5Bq/kg~

平成 23 年 3 月 2 0 件 0 件 2 件 0件 1 件 0件 2 件 0件 平成 23 年 4 月 13 0 件 11 件 2 件 0件 13 件 1件 0件 0件 平成 23 年 5 月 9 5 件 4 件 0 件 0件 9 件 0件 0件 0件 平成23 年6 月~9 月 7 ヨウ素 131,セシウム 134・137 ともに全て不検出

検査期間 上水(浄水) 原水

平成 23 年 10 月~12 月 12 回 0 回 平成 24 年 1 月~12 月 52 回 11 回 平成 25 年 1 月~12 月 57 回 19 回

合計 121 回 30 回

調査日

上境浄水場 大根山浄水場 大貫浄水場

セシウム 134 セシウム 137 セシウム 134 セシウム 137 セシウム 134 セシウム 137

平成 24 年 7 月 30 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

平成 24 年 10 月29 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

平成 25 年1 月 28 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

平成 25 年 4 月 23 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

平成 25 年7 月9 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

平成 25 年 10 月9 日 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出

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イ 地下水の放射性物質検査

上水道が未整備となっている保育所及び小中学校の 11 施設について,地下水の放射性物質検査 を実施した。検査結果は,セシウム 134 及び 137 ともに不検出となっている。

○平成 24 年 2 月実施 公共施設の地下水調査 施設名 ヨウ素 131 セシウム 134 セシウム 137

・採水日

平成 24 年 2 月 2 日

・測定方法

ケ ゙ ル マ ニ ウ ム 半 導 体 検 出 器 に よ る ガンマ線スペクトロメトリー

・検出限界値

1 キログラムあたり約 10 ベクレル

上郷小学校 不検出 不検出 不検出

島名小学校 不検出 不検出 不検出

菅間小学校 不検出 不検出 不検出

真瀬小学校 不検出 不検出 不検出

谷田部南小学校 不検出 不検出 不検出

吉沼小学校 不検出 不検出 不検出

高山中学校 不検出 不検出 不検出

筑波西中学校 不検出 不検出 不検出

上郷保育所 不検出 不検出 不検出

真瀬保育所 不検出 不検出 不検出

今鹿島保育所 不検出 不検出 不検出

※上郷幼稚園は上郷小学校,真瀬幼稚園は真瀬小学校と同一水源を利用しているため省略。

○平成 24 年 12 月以降の公共施設の地下水調査 施設名

平成 24 年 12 月 平成25 年12 月

・採水日

平成 24 年 12 月 17 日,18 日 平成 25 年 12 月 16 日~18 日

・測定方法

ゲルマニウム半導体検出器による ガンマ線スペクトロメトリー

・検出限界値

1 キログラムあたり約 1 ベクレル セシウム 134 セシウム 137 セシウム 134 セシウム 137

上郷小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

島名小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

菅間小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

真瀬小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

谷田部南小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

吉沼小学校 不検出 不検出 不検出 不検出

高山中学校 不検出 不検出 不検出 不検出

筑波西中学校 不検出 不検出 不検出 不検出

上郷保育所 不検出 不検出 不検出 不検出

真瀬保育所 不検出 不検出 不検出 不検出

今鹿島保育所 不検出 不検出 -

-※上郷幼稚園は上郷小学校,真瀬幼稚園は真瀬小学校と同一水源を利用しているため省略。

※今鹿島保育所は,市上水道を利用しているため平成 25 年 12 月分より検査を実施しない。

※ヨウ素 131 は,半減期が短く,検出されることがないため平成 24 年 12 月分から除外。

(8)

(5)放射性物質による健康影響検査受診費助成

市では,今回の事故による健康への影響は,空間放射線量率や食品に含まれる放射性物質の量 から推察して,外部及び内部被ばく量は極めて少ないと考えられるが,市民の不安軽減を目的に, 甲状腺エコー検査費用の助成を平成 25 年 4 月から実施している。

さらに,食事などにより放射性セシウムを体内に取り込んだことに起因する内部被ばくへの不 安の声から,体内にある放射性物質を調べることができるホールボディカウンタ検査の助成も併 せて実施している。

○助成制度概要

○助成実績と結果(平成 25 年 4 月 1 日~平成 25 年 12 月末日現在)

A1 判定・・・結節や嚢胞を認めなかったもの

A2 判定・・・5.0 ㎜以下の結節や 20.0 ㎜以下の嚢胞を認めるものの再検査を要しないもの B 判定・・・5.1 ㎜以上の結節や 20.1 ㎜以上の嚢胞を認めたもの(再検査)

C 判定・・・甲状腺の状態等から判断して、直ちに二次検査を要するもの(再検査)

※再検査の結果,B 判定の 1 名は「異常なし」,C 判定の 1 名は「橋本病」と診断され, 今回の原発事故との因果関係のない甲状腺障害とわかった。

ホールボディカウンタの結果は,すべて不検出(検出限界値未満)となっているが,仮に検出限界 値の放射性セシウムがあるとした場合,求められる預託実効線量は,0.1 ミリシーベルト未満となる。

これまでの受診者には,原子力発電所事故による健康への影響は見受けられなかったが,内部 被ばくによる健康への影響を調べることで,少しでも市民の不安を解消できるよう,平成 26 年度 も引き続き助成を実施する。

検査項目 助成対象 助成額(上限)

甲状腺エコー検査 事故当時 18 歳以下であった人 3,000 円

ホールボディカウンタ検査

事故当時 18 歳以下であった人 妊婦

3,000 円

検査内容 実施件数 検査結果

甲状腺エコー検査 135 名

A1 判定 86 名 (63.7%)

A2 判定 47 名 (34.9%)

B 判定 1 名 (0.7%)

C 判定 1 名 (0.7%)

(9)

章末注釈

*

6 ベクレル(Bq)

1秒間に原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量。例えば,毎秒100 個の原子核が崩壊して

放射線を発している場合,100 ベクレルとなるが,放射性物質の量や強さを表す単位として用い

られることが多い。ベクレルは放射線を発する「もと」を表すものであるため,同じベクレル数 の放射能が存在しても,そこから発する放射線が人体に与える影響は,種類や距離,遮蔽効果な どの条件によって異なる。

*

7 放射性セシウム

福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質(核種)の中で,主に現在も残ってい るものに,放射性セシウム(セシウム137の半減期は約30年,セシウム134の半減期は約2年) がある。

土壌に降下した放射性セシウムは,土壌の表面近くの浅い部分にとどまり,長期に渡って放射 線を発している。

これを含んだ食物を摂取した場合,主に全身の筋肉などに分布するが,代謝や排出などにより,

最も遅い成人でもおおよそ 100 日程度で半減される。(セシウム 137,セシウム 134 ともに)

なお,事故により放出された主な放射性物質の一つに放射性ヨウ素(ヨウ素 131)があるが,

半減期が 8 日と短く,事故後数か月でほとんど無くなっている。

*

8 預託実効線量

体内に取り込まれた放射性物質は,代謝により体外に排出されたり,放射性物質そのものの半 減期により減少するが,内部被ばくの影響を評価するため,摂取後 50 年間(子どもは 70 年)に

受ける放射線量を 1 年間で受けるものとして被ばく線量を算出する。これを預託実効線量という。

[計算方法]セシウム 137 の場合・・・単位はミリシーベルト

mSv(ミリシーベルト) 摂取量 摂取日数 放射能濃度 実効線量係数(大人)

預託実効線量 = ○ kg/日 × ○日 × ○ Bq/kg ×1.3×10 -5

mSv/Bq

例えば,1 キログラムあたり 20 ベクレルを含む食品を 100 グラムずつ 365 日摂取した場合 0.1 kg/日× 365 日× 20 Bq/kg× 1.3×10

-5

mSv/Bq ≒ 0.0095 ミリシーベルト となり, 年間 0.0095 ミリシーベルトが被ばく量となる。(実際は 50 年間かけて被ばくする量)

*

9 一般食品の基準値,1 キログラムあたり 100 ベクレル

一般食品の基準値は,すべての年齢区分の中で最も小さい値を全年齢の基準値とすることにより,

どの年齢の人にも考慮された基準値となっている。基準値の食品を一定の割合で摂取した場合,被 ばく線量の最も多いのが 13 歳~18 歳の男子で年間 0.8 ミリシーベルトとなる。

国が平成 25 年 2 月から 3 月にかけて行った,市販されている食品による平均的な摂取分量に応

じて放射性物質を測定し,預託実効線量を推定した結果,茨城県では年間 0.0025 ミリシーベルトと

(10)
(11)

(1)市内定置点における空間放射線量率測定

平成 23 年 5 月 27 日,市内の大学及び研究機関から協力を得て,市内全ての市立小中学校,幼

稚園,保育所,児童館,子育て支援センターの空間放射線量率の測定を実施した。

その後,市内各地域の空間放射線量率を把握するため,平成 23 年 6 月 20 日から毎月 2 回,市

内の主要な公園も含め,151 か所の公共施設で空間放射線量率の定置点測定を行うことを決定し,

測定結果はホームページや各交流センター(当時,公民館)で公開した。

右のグラフ『市内公共施設定置点測

定のおける平均値の推移』では,平成

23 年 6 月に地上 1 メートルの高さで,

毎時 0.156 マイクロシーベルトを示し

てから,約 2 年余りで毎時 0.081 マイ

クロシーベルトまで緩やかに下降して

いることがわかる。

さらに,第 3 回汚染状況調査(P41

参照)により,つくば市除染実施計画

の目標である 「平成 25 年 8 月までに

年間追加被ばく線量1 ミリシーベルト以下」 の達成が確認できたことから,平成 25年 11月よ

り定置点測定の頻度及び測定箇所について,下記のとおり大幅に見直した。

○定置点測定の見直し

※ 市庁舎敷地内及び近隣市町村に設置されているモニタリングポストや,市内研究機関

で,24 時間の空間放射線量率の測定がなされている。これらの数値に異常が見られた際に

は,再度,定置点測定方法を見直すこととする。 平成 25 年 10 月まで

全市立小学校 37

毎月

2 回 全市立中学校 14

全市立幼稚園 17

全市立保育所 23

児童館

・児童クラブ等 22

公園

・スポーツ施設 38

計 151

平成 25 年 11 月以降(現行)

【除染実施区域内-学校・保育所】

茎崎第一小学校,茎崎第二小学校

高崎中学校,高見原保育所,城山保育所

5

2 か月に 1 回

(奇数月)

【除染実施区域内-公園・スポーツ施設】

ファミリースポーツ公園・あしび野多目的広場

・高見原ソフトボール場・高崎サッカー場

4

2 か月に 1 回

(偶数月)

【除染実施区域外】

上記以外の小学校

35

6 か月に 1 回

(11 月・5 月)

計 44

(12)

(2)公共施設の空間放射線量率マップ

学校・幼稚園・保育所などの定置点測定は,各地域の標準的な空間放射線量率の把握を目的に しているため,各グラウンドの中央などで測定している。

加えて,実際に施設で活動する子どもへの影響を考慮し,各敷地内で子どもがよく使用する場 所ごとに空間放射線量率を測定し,平成 23 年 10 月に市立小中学校・幼稚園・保育所の空間放射 線量率マップを作成し,ホームページで公開した。

○空間放射線量率マップの作成

測定は各施設管理者が,敷地内で子どもがよく利用するポイ ントを 10 か所程度選び,平成 23 年 8 月から測定を実施した。

その中で,周囲より線量の高いマイクロホットスポットにつ いては,市が資機材等の支援を実施し,PTAの協力を得なが ら線量低減化のために自主的な除染活動などを実施した。さら に,除染作業による除去土壌が発生した際には,重機による敷 地内での埋設作業も実施した。

○線量マップの更新

平成 24 年 10 月,幼稚園及び保育所の空間放射線量率マップを更新し,ホームページで公 開した。

小中学校については平成 24 年 10 月以降,定置点測定日にあわせて敷地内数か所の空間放 射線量率の測定を実施し,各学校のホームページ上で公開している。

○高崎自然の森の空間放射線量率マップ

つくば市高崎にある『高崎自然の森』では,敷地内で 30 か所の測定ポイントを設けた空 間放射線量率マップを平成 23 年 11 月に作成し,ホームページで公開した。

その後,高崎自然の森では,利用者に安心して過ごしてもらえるよう,平成 25 年 12 月ま でに適宜測定を実施し,マップを 14 回更新している。

平成23年8月から10月の作業当時は,放射性物質汚染対処特措法の施行前であり,その基 本方針も示される前であったことから,除染となる基準の「毎時0.23マイクロシーベルト」という 基準はなかったため,『つくば市の放射線に対する基本的な対応方針(平成23年7月)』に基づ き,「保育園・幼稚園等における放射線量低減化対策に係る手引き(平成23年8月29日:茨城 県)」を参考にしながら除染作業を実施した。

(13)

(3)その他モニタリング

ア 土壌サンプリング調査

市内各 所に おける 放射 性物質 の沈 着度を 把握 す るため,土壌サンプリング調査を平成 23 年度及び 平成 24 年度の 2 回実施した。

○第 1 回調査(平成 23 年 11 月 29 日採取)

市内全域の汚染度合いの目安とするため,広域に わたり 6 か所の土壌サンプリング調査を実施した。

測定場所 所在 ヨウ素 131 セシウム 134 セシウム 137 空間放射線量率

谷田部総合運動公園 谷田部 不検出 141Bq/kg 186Bq/kg 0.194 μSv/h

茎崎運動公園 下岩崎 不検出 97.5Bq/kg 118Bq/kg 0.150 μSv/h 高崎自然の森 高崎 不検出 253Bq/kg 335Bq/kg 0.199 μSv/h

桜総合体育館 金田 不検出 157Bq/kg 202Bq/kg 0.135 μSv/h 大池公園グランド 北条 不検出 42.1Bq/kg 50.2Bq/kg 0.090 μSv/h 豊里多目的運動公園 高野 不検出 23.1Bq/kg 26.8Bq/kg 0.100 μSv/h

採取方法:中心点及び四方位 5 メートルでの 5 点混合採取法(深さ 5 センチメートル採土)

測定方法:ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析

(空間放射線量率の測定は,HORIBA PA-1000 Radi を使用)

○第 2 回調査(平成 25 年 2 月 22 日採取)

市内北部の空間放射線量率が事故前の状況と変わらなくなっていることから,除染実施区 域を中心に土壌サンプリング調査を実施した。

測定場所 所在 ヨウ素 131 セシウム 134 セシウム 137

空間放射線量率

(毎時マイクロシーベルト)

市庁舎西側 研究学園 不検出 92Bq/kg 205Bq/kg 0.08 高見原 1 丁目会館 高見原 不検出 184Bq/kg 339Bq/kg 0.16 上岩崎集落センター 上岩崎 不検出 67.2Bq/kg 128Bq/kg 0.10 宝陽台住宅地 宝陽台 不検出 219Bq/kg 428Bq/kg 0.16 中山公民館 中山 不検出 248Bq/kg 459Bq/kg 0.18 広岡交流センター 下広岡 不検出 414Bq/kg 793Bq/kg 0.22 竹園交流センター前 竹園 不検出 201Bq/kg 377Bq/kg 0.12

採取方法:中心点及び四方位 5 メートルでの 5 点混合採取法(深さ 5 センチメートル採土)

測定方法:ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析

(空間放射線量率の測定は,日立アロカメディカル TCS-172B を使用)

イ 除去土壌(保管場所)モニタリング

一部の小中学校及び幼稚園,保育所で保護者の協力を得ながら実施した,自主的除染におい

【 5 地 点 混 合 法 に よ る サ ン プ リ ン グ 】

四 方 4 か 所 と 中 心 点

の 計 5 か 所 か ら 個 別 に

試 料 採 取 を 行 い , よ く

混 ぜ 合 わ せ , 一 つ の

試 料 と す る 。 こ れ に よ り

, 土 壌 試 料 の 代 表 性

を 高 め る こ と が で き る 。

各 採 取 ポイ ン トに お け る 深 度 方 向 の土

壌 試 料 の採 取 は , 採 取 部 位 と し て 土 壌

(14)

て発生した除去土壌は,当該敷地内に埋設保管されている。埋設は,50 センチメートル以上の 厚さで覆土しているため,地上での線量は低く抑えられていることが確認できている。市では 保管場所の位置を GPS で把握し,空間放射線量率の把握のためにモニタリングを実施している。

○市立小中学校 【測定機器:日立アロカメディカル TCS-172B】 施設名称

空間放射線量率(毎時マイクロシーベルト)

測定日

埋設位置

地表付近 地上50cm 地上100cm 北緯(N) 東経(E)

栗原小学校 0.09 0.09 0.09 平成24年7月30日 36�07’38”29 140�07’01”33 葛城小学校 0.07 0.07 0.10 平成24年7月30日 36�04’45”41 140�05’42”55 吾妻小学校 0.08 0.08 0.09 平成24年7月30日 36�05’01”93 140�06’31”44 谷田部小学校 0.14 0.14 0.13 平成24年8月2日 36�02’05”44 140�04’28”07 谷田部南小学校① 0.15 0.13 0.13 平成24年8月2日 36�00’37”04 140�04’44”49 谷田部南小学校② 0.20 0.18 0.17 平成24年8月2日 36�00’36”99 140�04’44”68 手代木南小学校 0.17 0.17 0.16 平成24年7月31日 36�03’58”64 140�06’07”93 東小学校 0.12 0.14 0.16 平成24年8月2日 36�03’17”26 140�07’45”55 竹園西小学校 0.07 0.08 0.08 平成24年7月30日 36�04’35”07 140�07’03”96 竹園東小学校 0.12 0.09 0.10 平成24年7月30日 36�04’54”05 140�07’25”99 桜南小学校① 0.12 0.14 0.13 平成24年7月31日 36�03’53”27 140�09’07”94 桜南小学校② 0.10 0.10 0.10 平成24年12月13日 36�03’49”63 140�09’07”61 並木小学校① 0.15 0.12 0.10 平成24年12月13日 36�04’00”13 140�08’31”48 並木小学校② 0.15 0.14 0.13 平成24年12月13日 36�04’00”31 140�08’31”30 二ノ宮小学校① 0.16 0.18 0.15 平成24年7月31日 36�03’30”59 140�07’06”67 二ノ宮小学校② 0.09 0.09 0.08 平成24年9月6日 36�03’30”64 140�07’06”65 松代小学校① 0.10 0.09 0.09 平成24年9月6日 36�04’13”63 140�06’04”30 松代小学校② 0.13 0.12 0.12 平成24年9月6日 36�04’13”56 140�06’04”25 茎崎第一小学校 0.15 0.16 0.17 平成24年8月2日 35�59’54”48 140�07’28”57 茎崎第二小学校① 0.11 0.12 0.13 平成24年8月1日 35�58’45”60 140�06’05”41 茎崎第二小学校② 0.13 0.12 0.12 平成24年10月29日 35�58’45”51 140�06’06”17 茎崎第三小学校 0.11 0.12 0.13 平成24年8月2日 35�59’40”40 140�06’31”99 吾妻中学校 0.20 0.18 0.16 平成24年7月30日 36�05’38”05 140�06’32”38 竹園東中学校 0.13 0.11 0.11 平成24年7月30日 36�04’58”87 140�07’35”60 並木中学校 0.12 0.11 0.12 平成24年7月31日 36�03’50”58 140�08’52”34 手代木中学校 0.14 0.12 0.12 平成24年8月2日 36�03’46”65 140�06’19”58 茎崎中学校① 0.14 0.15 0.15 平成24年8月2日 35�59’23”59 140�07’02”81 茎崎中学校② 0.11 0.12 0.12 平成24年10月29日 35�59’23”69 140�07’02”75

○市立幼稚園,保育所 【測定機器:日立アロカメディカル TCS-172B】 施設名称

空間放射線量率(毎時マイクロシーベルト)

測定日

埋設位置

地表付近 地上50cm 地上100cm 北緯(N) 東経(E)

(15)

施設名称

空間放射線量率(毎時マイクロシーベルト)

測定日

埋設位置

地表付近 地上50cm 地上100cm 地表付近 地上50cm

島名幼稚園 0.07 0.08 0.08 平成24年7月31日 36�04’18”80 140�02’50”07 高崎幼稚園 0.11 0.13 0.13 平成24年8月1日 36�00’00”19 140�07’31”26 岩崎幼稚園 0.15 0.15 0.14 平成24年8月1日 35�58’44”07 140�06’03”92 上境保育所 0.09 0.09 0.08 平成24年7月30日 36�06’33”64 140�07’34”45 松代保育所 0.09 0.09 0.08 平成24年7月31日 36�04’14”33 140�06’01”51 手代木南保育所 0.09 0.10 0.11 平成24年7月31日 36�03’48”65 140�06’14”80 竹園保育所 0.06 0.08 0.07 平成24年7月30日 36�04’49”54 140�07’29”73 並木保育所 0.08 0.08 0.10 平成24年7月31日 36�03’47”24 140�08’36”74 桜南保育所 0.14 0.13 0.12 平成24年7月31日 36�03’43”41 140�08’46”30 上広岡保育所 0.08 0.10 0.10 平成24年7月31日 36�04’14”17 140�09’10”36 上横場保育所① 0.16 0.15 0.14 平成24年8月1日 36�02’33”11 140�05’41”18 上横場保育所② 0.16 0.15 0.13 平成24年8月1日 36�02’30”91 140�05’41”84 城山保育所 0.11 0.11 0.12 平成24年8月1日 35�59’37”02 140�07’23”90 岩崎保育所 0.09 0.10 0.10 平成24年8月1日 35�58’44”47 140�06’10”79 高見原保育所 0.11 0.12 0.14 平成24年8月1日 36�00’08”46 140�07’53”90

ウ 焼却灰モニタリング

平成 23 年 6 月,環境省が関東・東北地方各県に廃棄物処理施設における焼却灰の測定を要請 し,当面の取扱いとして「放射性セシウム濃度が 1 キログラムあたり 8,000 ベクレル以下の焼 却灰は管理型最終処分場に埋立て処分し,1キログラムあたり 8,000ベクレルを超える焼却灰 は,最終処分場に一時保管する。」との方針を示したことにより,市は,つくば市クリーンセ ンターの焼却灰(主灰及び飛灰)の放射能濃度測定を開始した。

なお,特措法施行後は焼却灰の測定が義務づけられ,同法の規定により測定を実施している。

○モニタリング概要

対 象試 料:主灰及び飛灰

分 析方 法:ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー 分 析各 種:ヨウ素 131,セシウム 134,136 及び 137

検出限界値:各種ごとにおおよそ 1 キログラムあたり 10 ベクレル ※主灰:焼却炉の炉底に残存した灰分。

※飛灰:排ガス中に浮遊する灰分等を集じん装置で捕集し,薬剤処理したもの

○測定結果

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